Course of Electrical Engineering

  • コース概要
  • 在校生・卒業生の声
  • 授業風景・実験設備

電気の技術で社会を豊かに!
すべての産業分野で活躍できるエンジニアを育成

学習内容

 現代社会の生活に欠くことができない電気の発電や送配電、さらに半導体、情報通信などについて総合的に学習します。数学や物理の基礎、電気・電子回路の科目を段階的に習得しながら、設計・製作・解析といった将来の進路先で必要となる専門知識を学びます。実践的な技術力の養成を目的として、工学実験や実習などに最先端技術を取り入れ、学生が自由な発想で学年を超えて起業・就職体験を行う機会を提供するなど、内容を充実させています。DX・GXの成長分野をはじめ、あらゆる企業で活躍できるエンジニアの育成を目指しています。
 低学年では専門基礎科目に重点を置き、高学年では電気主任技術者資格や無線技術士資格に対応できるようにバランスよく電気、電子、情報、通信関連の科目を開講するとともに、実験実習や卒業研究を通して創造力、応用力の育成に注力しています。
 卒業生は、産業界のあらゆる分野で能力を発揮し、高い評価を得ています。

カリキュラム

  • 1

    ものづくり工学では各コースの内容が学習できる

    ものづくり工学では、機械・電気・情報・建設・化学の5つのコースを1年間かけて学習します。入学後に、すべてのコースの内容を学習できるので、コース選択に熟考でき、ミスマッチが少なく、学生の満足度は非常に高いです。情報リテラシー1では、WordやExcelなどのソフトウェアを学び、実験やレポート作成に役立て、デザイン基礎では製図の基礎を学びます。また、数学・理科・英語・国語・社会の基礎を学習し、専門教育に向けての基礎づくりを行います。体育を通じて体の動かし方や自己分析力、リーダーシップ、協調性を養っています。

    主要科目

    ・ものづくり工学
    ・情報リテラシー1
    ・デザイン基礎

  • 2

    電気磁気学や電気回路論などの基礎科目を学習する

    電気磁気学1ではクーロンの法則から学習し、最終的には電磁誘導やインダクタンスについて学習します。電気回路論1では、直列回路から始まり、最終的にはRLC回路まで学習します。実験実習では、基礎的な機材の使い方やレポートの書き方を学習します。

    主要科目

    ・電気磁気学1
    ・電気回路論1
    ・電気電子製図
    ・電気電子工学実験1

  • 3

    電気磁気学の基礎科目から電気計測などの応用科目まで学習する

    電気磁気学2では、微積分を用いて電場や電位を計算します。電気回路論2では、記号法による交流回路の計算や交流回路に関する諸定理、共振回路と相互インダクタンス回路などを学習します。ディジタル回路1・2では、コンピュータ内部で使用される2進数やディジタル回路の基礎となるブール代数、各種フリップフロップの特性や動作を理解した上で、それらを組み合わせたカウンタやレジスタの設計および解析に必要な知識を習得します。

    主要科目

    ・電気磁気学2
    ・電気回路論2
    ・電子工学
    ・電気計測
    ・電気電子工学実験2

  • 4

    電気電子工学実験3で電気の実践的能力を培う

    電気回路論3や半導体電子工学などの座学では、微積分や常微分方程式、偏微分方程式を使って現象を学習します。電気電子工学実験3では、交流回路のベクトル軌跡、RLC回路の直列共振特性に関する実験、絶縁破壊電圧の測定を行い、講義で学習した内容の理解を深めます。また、年間を通して実験の1テーマとして電気技術イノベーション実習を実施し、学生自身で模擬会社を起業することで社会人として必要な能力を身につけます。

    主要科目

    ・電子回路論
    ・電気回路論3
    ・電気電子材料
    ・半導体電子工学
    ・電気電子工学実験3

  • 5

    エンジニアとしての課題解決能力を養う

    より高度な半導体の原理やパワーエレクトロニクスについて学習します。また、卒業研究を通じて、研究テーマを推進する過程において、4年生までに学んだ専門的知識を応用・活用して、与えられた課題や問題を解決するための実践力を養います。

    主要科目

    ・半導体デバイス
    ・パワーエレクトロニクス
    ・送配電工学
    ・制御工学
    ・創造工学実習
    ・電気電子工学実験4

コースの特徴

電気技術イノベーション実習(アントレプレナーシップ実習、2~4年)では、3学年全ての学生が参加して学生自身が各10名超規模の模擬会社を起業し、個々の持つ専門技術を組み合わせて様々なものづくりに挑戦します。

  1. 電気技術イノベーション実習(アントレプレナーシップ実習、2~4年)では、3学年全ての学生が参加して学生自身が各10名超規模の模擬会社を起業し、個々の持つ専門技術を組み合わせて様々なものづくりに挑戦する実習です。
  2. 卒業研究(5年)では、電気分野を中心とした最先端技術の研究開発を各教員の指導の下で行っています。学生たちの研究成果は、積極的に学会や展示会などで国内外を問わず社会に発信しています。
  3. 研修旅行(企業見学+修学旅行、3・4年)では、企業見学を取り入れた修学旅行を実施しています。

資格認定

電力分野

第2種電気主任技術者
第3種電気主任技術者
(必要な科目の単位を取得し、一定期間の実務経験後)

情報通信分野

第1級陸上特殊無線技士
第2級陸上特殊無線技士
第2級海上特殊無線技士
(必要な科目の単位を取得し、一定期間の実務経験後)

研究紹介

無線を活用した技術開発

松本 高志教授 博士(工学)

低電力かつ広域ネットワーク向けのプロトコルであるLoRa通信を活用して、安価に水田の水の管理を遠隔化して稲作の省力化を図る技術開発の研究を行っています。

歩行振動データを利用したセキュリティシステム

中村 雄一教授 博士(工学)

歩行振動データを利用したセキュリティシステムの研究開発を行っています。各固有の情報から個人を識別し、セキュリティに活用しています。状況判断システムおよび省電力システムの開発・運用に関する研究にも興味を持っています。

LEDの光センサ機能を用いた電子デバイス製作の研究

長谷川 竜生教授 博士(工学)

LEDの光センサ機能を用いたマイコン制御の電子デバイス製作に関する研究開発を行っています。これまでに、ディスプレイ上のLEDに光照射や指でタッチすることで自由に描画できるディスプレイを開発しています。

構造性発色の数値解析や電磁波観測に関する研究

小松 実教授 博士(工学)

構造性発色の数値解析ではシミュレーションにより特定の色を発色する構造の検討を行い、レーザー加工により実際の発色を検証しています。電磁波観測データの異常値の解析により地震予測につなげる研究をしています。

LEDデバイスに関する研究

釜野 勝教授 博士(工学)

LEDに関する様々な応用技術を検討しながら、研究に取り組んでいます。LED筐体に精密加工を施すことで、LEDの配置や視覚効果を評価しています。また、防虫効果を有するLED照明の開発を行っています。

光(レーザーなど)を用いた半導体や化学物質の特性評価

香西 貴典准教授 博士(工学)

水の中に色素がどの程度含まれているのか判定したり、深紫外LEDを用いて色素がどの程度分解したかなど研究しています。

有機無機ハイブリッド材料合成の研究開発

藤原 健志講師 博士(工学)

ゴムやプラスチックなどの有機材料の性質(高い柔軟性や耐衝撃性など)と、無機材料の性質(高い熱伝導性や電気伝導性など)を併せ持った新材料の開発を行っています。

高電圧放電設備を用いた絶縁破壊

朴 英樹助教 博士(理学)

高電圧放電設備を用いて絶縁破壊の研究を行っています。また、学生の実験や実習を通して、電気現象の基本原理について実際に体験しながら理解を深める活動もしています。

教員紹介

氏 名職 名学 位校 務専門分野リンク
松本 高志 教授 博士(工学) 副校長(教務主事) 環境電磁工学、工学教育 research map
中村 雄一 教授 博士(工学) 専攻科長補佐 ニューラルネットワーク、非線形問題 research map
長谷川 竜生 教授 博士(工学) 電気コース主任、3E副担任 非線形光学、薄膜・表面の光学特性評価 research map
小松 実 教授 博士(工学) 高度情報教育センター長、教務副主事 電磁波工学、通信工学 research map
釜野 勝 教授 博士(工学) 地域連携・テクノセンター長 半導体熱物性、半導体光学 research map
香西 貴典 准教授 博士(工学) 3E担任、地域連携・テクノセンター産学連携高度レーザー基盤研究部門長 光物性、レーザー分光法 research map
藤原 健志 講師 博士(工学) 4E担任 電子材料、ナノ材料化学 research map
朴 英樹 助教 博士(理学) 学生主事補 プラズマ物理 research map
後藤 祐美 助教 修士(工学) 寮務主事補 蛍光発光材料 research map
川端 明洋 第2GL・技術専門職員 電子回路、ICT・IoT関連技術 research map
尾﨑 貴弥 技術職員 電気工学、電子回路設計、基盤加工 research map

在校生・卒業生からのメッセージ

在校­­生

電気の魅力は無限大!

宇津 和奏(池田中学校出身)

LEDに深い興味を持ち、私は電気コースに進学しました。LEDは小さな電子部品ですが、その魅力は無限大であり、液晶テレビや電光掲示板、照明などで美しい光を放つLEDは広く利用されています。電気コースでは、LEDを含む素子や回路基礎だけでなく、送配電や電気電子材料、プログラミングなど、幅広い電気技術と知識を学ぶことができます。さらに、電気技術イノベーション実習という実習があります。この実習では、「やってみたいと思うことをとにかくやってみる」というモットーのもと、学生が模擬会社を起業して運営することができます。私は、LEDの美しい光を広めたいという思いから、イルミネーションの会社を起業し、活動しています。時には失敗することもありますが、その経験を生かして次につなげています。この実習では、社会で必要とされる課題解決能力やプレゼン力、コミュニケーション能力を身につけることができるため、何かを作りたい、挑戦したいという人だけでなく、経験や技術を身につけたい人にとって最高のコースだと思います。また、2年生から4年生までが一つの会社で働くため、縦のつながりができるのも魅力の一つです。卒業後の進路は多岐にわたります。例えば、電力やガス会社のインフラ、LEDなどの電子部品の開発・製造、自動車部品やマイコン制御、医療機器の管理などがあります。先生方は皆優しく、いつでも相談に乗ってくれます。コース選びで迷っている人も、そうでない人も、ぜひ一緒に電気コースで学びましょう!

卒業生

人生の選択肢が広がる電気コース

貝出 凌汰(九州大学工学部電気情報工学科)

皆さんは「高専」で「電気」を学ぶという選択肢をどのように考えていますか?高専卒業後の実情についてお話しします。大学に3年次編入した私は学業についていけるかと心配していましたが、その不安は入学後すぐになくなりました。電気コースでの工学実験で身につけた実践的な知識は、大学生の知識を遥かに凌駕していました。高専生の技術力、そして創造力の高さを改めて感じました。5年間かけて電気技術に関する幅広い専門知識を学んだ後は卒業研究に着手し、研究成果を学会や展示会などで発表することもできます。この経験は現在大学で研究活動をする中でも大きなアドバンテージとなっています。また電気技術イノベーション実習では、学生が仮想的な社会人となり模擬会社を設立し、現実社会に近い形の起業・就業体験を行えます。ここでは問題解決能力、コミュニケーション能力といった社会で活躍できる人間力を養うことができ、それらは一生物のスキルになります。講義で学ぶことのできる知識や技術だけでなく、このような社会人基礎力が重要視されているのも電気コースの特徴でしょう。中学生時代の私は将来の選択に悩んでおり、最初は電気技術への少しの興味と、エンジニアに対する漠然とした憧れがあっただけでした。しかし今では、この選択が最善であったと確信を持って言えます。阿南高専電気コースで学んだ5年間が、私の人生の選択肢を広げてくれました。

授業風景の紹介

電気コースでは以下のような授業を実施しています。


電気回路論2

学習内容

電気回路論2では、電気電子工学の基礎となる電気回路論のうち、交流回路の解析法および回路解析の諸定理について学び、交流回路について理解するとともに、動作解析のための応用力を養うことを目指します。回路計算に関連する諸定理の有用性を十分に理解するとともに、演習問題を数多く解いていきます。黒板への板書を中心とした座学形式で授業を進め、内容確認のために宿題も課します。

電気電子工学実験2

学習内容

電気電子工学に関する基礎的な物理現象を実際に観察して理解を深めることを目指します。デジタル回路実習ボードを用いて、順序論理回路の仕組みや動作について学習します。

電気機器工学1

学習内容

電気機器工学1では、交流静止電力変換器である変圧器の原理と構造および各種特性の理解を目指します。また、交流回転電力変換機の中で代表的な直流機、誘導機、同期機について、それぞれの原理や構造、等価回路を基礎とした基本特性の理解を目的とします。

ディジタル回路2

学習内容

各種フリップフロップの特性・動作を理解した上で、それらを組み合わせたカウンタ・レジスタの設計および解析ができる知識を習得することを目指します。また、メモリやマイクロプロセッサの概念・構成、ディジタルICの種類と用途についても学びます。

電気電子工学実験3

学習内容

電気電子工学実験3では、計測器などを用いて基礎的な物理現象を観察し、座学で学んだ内容の本質を理解し、定着させることを目指します。交流回路のベクトル軌跡やロボット操作実習(ARティーチング)だけでなく、絶縁破壊電圧の測定も行います。

電気磁気学2

学習内容

電気磁気学は、現在の技術社会を支える重要な学問分野の一つであり、電気系の学生にとっては電気回路論と並んで最も重要な基礎科目です。本講義では、に関するさまざまな定理や法則について理解を深め応用力を養うことを目指します。