阿南高専・建築学研究室(多田豊研究室)

建築でミライを変える
ようこそ,阿南高専 「建築学研究室」 へ!

私は本校で建築学を教えている多田豊です。令和元年度に着任し,令和4年4月時点で3年目になります。
私は国家資格である一級建築士,技術士(建設部門)を持つ実務者教員として,高専生に「建築・都市計画でミライを変える力」を教授しています。
同時に,地域企業の技術者へのリカレント(学び直し)教育を行い,卒業後にも高専を通じて最新の技術を学び続けられる環境をつくっています。

 

A 阿南高専をかえるプロジェクト
阿南高専をもっと楽しく,もっとステキな場所にするため,学生達とDIY等に取り組んでいます。

A① KID’s roomの整備(企業と学生が協働する研究室をつくる)

阿南高専では企業の課題を学生が専門技術を用いて解決する仕組み「ACT倶楽部」を令和3年度より行っています。
実習工場の一角にある協働プロジェクト開発室の一部を,KID’s roomとして学生の手で整備しました。
令和2年度の「建築計画」(2年生の授業)にて,企業と学生との協働スペースを提案してもらいました。
発表会には阿南市長にもご参加頂き,学生達の考える企業との交流について,アドバイスを頂きました。
令和3年度には,「建築計画」の授業を受けた学生有志(3年生)が中心となり,空間の設計を行っていきました。
コンセプトは「KID’s room」K:高専,I:インダストリアル(工業),D:デザインの頭文字です。
阿南市の高い工業技術にデザインの力を入れることで,より魅力が伝わり消費者との距離を近づけていくこと。
そのために,企業に勤める大人たちが,ここにきて子どもにもどって,自由に新しい発想を生み出す場となってほしいという願いがあります。
この計画では,「CLASS」,「PARK」,「HOUSE」の3つのゾーンを設け,大人と子どもが「学ぶ」,「遊ぶ」,「暮らす」体験を協働することができるようになったいます。
なお,太刀川英輔特命教授代表(NOSIGNER代表)の指導も受けながら,進化思考を持ちいて,コンセプトの質を高めていきました。
令和3年6月に,徳島県より木造応急仮設住宅を貸与頂き,「HOUSE」の整備が始まりました。
多田研究室の卒研生(5年生)が中心になり,1年生から5年生まで様々なコースの17名の学生が3日間で建築しました。
BIMを用いて,柱や梁の施工の順番を検討し,安全性を高めながら工事を進めていきました。
a: BIMを用いた施工手順の説明
b: 工事現場でのBIMを用いた施工手順の確認
c: 学生による施工の様子
d: 完成した「HOUSE」
令和4年2月に,学生有志による「PARK」,「CLASS」の工事が行われました。
【プロジェクト成果の発表】
・Yutaka TADA, et.al., Architecture PBL for designing and constructing on-campus facilities by technical college students using digital twins, KESS2022
【メディアでの報道】
「徳島型の木造仮設住宅」で阿南高専が地域の防災に貢献!(PR Times)他,ネットメディア40社に掲載
・徳島県建築士事務所協会大会 阿南高専学生3名が招待発表,文教ニュース,2021年11月22日
【プロジェクトに関わる研究助成等】
・令和3年度高専高度化経費,ソーシャルドクター養成トップ校を目指した高専生とACT(阿南高専教育研究助成会)企業との学内公募型共同研究ユニットの創設と進化思考を活用したデザイン開発メンター制度の導入,2021年8月 – 2022年3月

・公益財団法人ちゅうでん教育振興財団 2020年度 ちゅうでん教育振興助成(高等専門学校の部)「高専発!「応急仮設住宅ゲーム」PBLによる産官学福民連携の実現!」,2021年4月 – 2022年3月

【表彰】
・多田豊,阿南工業高等専門学校高志賞(地域連携表彰)受賞,2021年10月

 

A② 高専コモンズをめざして

これまで国立高専は技術者育成と研究活動に取り組んできましたが,教育・研究の高度化にあたり,地域企業との連携が不可欠となっています。
そこで,国立高専51校がそれぞれの特性を発揮し,地域に開かれた「KOSENコモンズ」として共創拠点へと変わることが求められています。
令和3年度に「建築計画」(2年生の授業)の中で,阿南高専の顔である校門周辺の改修プロジェクトについて学生コンペを行いました。優秀案をとりまとめ,令和4年度営繕事業に提出したところ,採択を受け,令和4年4月より「デジタル田園高専キャンパス構想~OBOG・現役・未来の高専生とが懐かしい未来を創る」をコンセプトに改修設計等を学生と共に行っていく予定です。

A③ ピアサポート空間をつくろう!

先生に聞くまでもない,でもこれが分からないと理解が進まない。
学習面での小さなつまづきを,気軽に先輩に聞いて,解決していくのが「ピアサポート」です。
令和3年度に,学生有志によるピアサポート倶楽部が設立されました。
ピアサポート活動を支援するため,図書館2階の一室をピアサポートルームとして整備することになり,
令和3年度の「建築計画」(2年生の授業),「建築設計製図1」(4年生)の授業の中で,コンペを行いました。
これらの案をとりまとめ,具体的な家具を設計していくことになり,学生有志を募集したところ13名の学生が参加してくれました。
短い期間ではありましたが,ACT企業である大坂工務店の協力のもと,家具の設計,原寸図作成,製作などを行いました。
ドーナッツ型のテーブルとベンチは,17枚の異なる種類の板材からできており,それぞれの個性が集り円になるというピアサポートの理念を表すものになっています。
【プロジェクト成果の発表】
・N. Kawabata, Y. Tada, M. KAMANO, Learning Commons Improvement Project with a Student-Centered Approach -Toward an Individual Optimized Learning Space, 15th International Symposium on Advances in Technology Education
【プロジェクトに関わる研究助成等】
・令和3年度高専高度化経費,学習の個別最適化を実現するピアサポート環境の高度化・実質化,2021年8月 – 2022年3月【メディアでの報道】
阿南高専生が学習室改装へ,徳島新聞,2022年1月5日

A➃ 高専寮の住環境の改善

寒い,暗い,汚い…そんな高専寮の住環境を自分たちの手で変えていくため,学生有志で断熱改修を行うことにしました。
令和3年1月に寮生7名による勉強会を開催し,断熱性能の調査や温湿度シミュレーションについて学びました。
床面に必要な断熱材の種類や厚み,杉板の固定方法等について検討し,学生たちで工事を行いました。

【プロジェクト成果の発表】
阿南高専明正寮のDIY断熱改修(ピアサポート) (2021.3)
富永眞ノ介(3年生), 多田豊,「学寮」としての真価を発揮するために ”明るさ”を意識したDIY改修,日本高専学会第27回年会講演会,2021年9月3日 
・富永眞ノ介,(3年生) 多田豊,DIY – Dormitory Innovation,第4回NIT-NUU日台国際カンファレンス,2021年9月2日
阿南高専における学生寮(明正寮)の利用者評価~施設・システムに関するアンケート分析~(5C高岡采音) 

【メディアでの報道】
・学生寮の居室リフォーム,文教ニュース,2021年6月21日
・ピアサポートが学生寮居室をリフォーム,文教速報,2021年6月18日

 

A⑤ 高専寮のコロナ対策

令和2年4月より,国内でも新型コロナウィルス感染症の感染拡大が始まりました。
阿南高専では全学生の半数約350名が入寮しており,寮室は2~3人部屋が主のため,感染対策が必須となりました。
令和2年度「建築設計製図2」(5年生の授業)の中で,この対策案を課題としたところ,
個室とするよりも複数人部屋の方が精神的に安定することが分かってきました。
平時は室内でもマスクをすれば感染予防になるが,就寝時にはマスクを外す必要がありました。
そこで,どのように間仕切りカーテンを配置すれば,飛沫の飛散が低減するか等を検討しました。
どのように間仕切りを設けるのか,学生との対話を重ねていきました。
設計案について予算を確保し,カーテンレールとカーテンの設置を学生主導で行いました。
夏休みの施工となったため,熱中症対策等の安全管理を最も重視して作業を行いました。
【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 原野 智哉, 釜野 勝, 川畑 成之, 田中 達治, 一森 勇人, Chris Prowant, 浮田 卓也学びを止めない!高専寮のDIY改修,2020KOSENフォーラム OS-73 感染症対策(ソフト・ハード面)に配慮した高専寮の改修・運営に関する提言,2021年3月4日
多田豊,「学びを止めない」ための遠隔授業とスクーリング時の感染防止対策の取り組み,一般社団法人住宅医協会,住宅医リレーコラム,2020年6月
・高岡采音(5年生), 多田豊,高専寮の建築計画に関する基礎的研究,日本建築学会四国支部徳島支所2019 年度徳島建築研究発表会,2019年11月23日
・高岡采音(5年生), 多田豊,コリビング型学生寮とグリーンビルディング(シンガポールの事例)について,一般社団法人徳島県建築士事務所協会 建築はおもしろい!研究発表会,2019年11月9日
【表彰】
・多田豊,阿南工業高等専門学校高志賞(学生寮コロナ対策表彰),2021年10月
B 阿南市をかえる学生プロジェクト
阿南市をもっと楽しく,もっとステキな場所にするため,学生達と次の活動にに取り組んでいます。

B① 地域防災力を高める応急仮設住宅の整備

阿南高専の位置する徳島県阿南市は南海トラフ巨大地震の発生が想定されており,
震災により多大なる被害を受けることが予測されています。
そこで,「事前防災」の観点から,応急仮設住宅に関する研究を進めています。
令和3年度には,2種類の木造仮設住宅を学生の手で整備しました。
一つは板倉工法の応急仮設住宅で,これはKID’s roomの「HOUSE」として使用されています。

もう一つは,在来工法の木造仮設住宅で,令和3年11月に徳島県と災害時に仮設住宅の建設協定を締結している全国木造建設事業協会徳島支部と協働で建築をしました。

この仮設住宅は令和3年度卒業研究にて,事前防災の観点から防災意識を高めるため防災公園等に設置する「みんなの家具」として活用することが提案されています。

【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 林聖人(5年生),事前防災に寄与する「みんなの家具」の提案,2022年度日本建築学会四国支部研究発表会 2022年5月14日
・林聖人(5年生),事前防災に寄与する「みんなの家具」の提案,令和3年度阿南工業高等専門学校卒業論文,2022年3月

・富永眞ノ介,(3年生) 多田豊, 林聖人(5年生),徳島県阿南市における木造応急仮設住宅の準備状況,令和3年度自然災害フォーラム&第16回南海地震四国地域学術シンポジウム,2022年1月21日
中川颯太(5年生),林聖人(5年生),高専生よるHouse in Factory~徳島で木造仮設住宅は建築可能か,徳島県建築士事務所協会令和3年度大会,2021年10月30日
野口佑大(5年生),応急仮設住宅団地における集会所建設に関する一考案~徳島の地域性に配慮した「みんなの家」の事前設計案~,阿南工業高等専門学校令和1年度卒業論文 
・多田豊,全木協令和2年度補助事業 応急仮設住宅図面・施工・管理研修会の説明,全木協令和2年度補助事業 応急仮設住宅図面・施工・管理研修会,2021年1月27日 一般社団法人徳島県木の家地域協議会
・野口佑大(5年生), 多田豊,応急仮設住宅団地における徳島型「みんなの家」の事前設計,日本建築学会四国支部徳島支所2019 年度徳島建築研究発表会 ,2019年11月23日
・野口佑大(5年生), 多田豊応急仮設住宅団地における徳島型「みんなの家」の事前設計,一般社団法人徳島県建築士事務所協会 建築はおもしろい!研究発表会,2019年11月9日

【メディアでの報道】
・フレッセ,応急仮設木造住宅実習訓練研修会,全建総連 全徳島建設労働組合,2022年1月1日
阿南高専生が仮設住宅建築 木材高騰考慮し設計,徳島新聞,2021年11月25日
校内に木造仮設住宅を建築 将来を見据えて実践にトライ!,徳島新聞 startt,2021年10月28日
・たけまるTV,阿南高専に木の家を建てる,阿南TV,2021年6月

 

B② 阿南市事前復興プロジェクト

徳島県内において最も工業製品出荷額の大きい阿南市ですが,阿南駅周辺等を始め立地適正化計画区域内においても商業等が衰退しており,都市としての魅力が失われています。
また南海トラフ巨大地震発災時には津波被害等も想定されていることから,今後,徳島南部自動車道の整備と共に阿南市外に居住し,阿南市へ通勤するというライフスタイルへの転換が進み,ますます阿南市内の魅力が低下していくことが懸念されています。
そこで,阿南高専加藤研究室,東京大学工学部都市工学科 都市生活学/ネットワーク行動学研究室(羽藤英二教授)との共同研究にて,阿南市の事前復興に係る研究を進めています。
令和3年度には「建築設計製図1」(4年生の授業)にて,阿南駅周辺のまちづくり計画案を作成しました。令和4年度以降は他地区を含め,地域住民の方々とワークショップ等をしながら,事前復興に関わるプロジェクトに取り組んでいきます。

【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 加藤研二,2022年1月フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火に伴う潮位変化による津波避難指示発令時における徳島県沿岸部居住者の津波に対する意識と避難行動,令和4年度土木学会四国支部第28回技術研究発表会 2022年5月28日
【メディアでの報道】
・地域にぎわいづくり考察 阿南高専生 阿南駅周辺を調査,徳島新聞,2021年12月3日

B③ 無電柱化のまちづくり

災害時に電柱などが倒壊し,緊急車両の通行を妨げたり,住民の避難を遅延させる場合があります。その対策として無電柱化のまちづくりが考えられますが,コストとの兼ね合いがあり,全国的に進捗は停滞しています。
その理由として,無電柱化だけでなく,住宅の耐震性能向上等,街区全体的な耐震性能を高めていくというスキームであれば,無電柱化が評価されるのではないかと考え,その意識について研究を進めています。【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 加藤研二, 井上貴文,住宅耐震化と無電柱化による街区全体の 耐震性能の意識,第64回土木計画学研究発表会・秋大会,2021年12月3日【プロジェクトに関わる研究助成等】
・多田豊,復興事前準備に寄与する街区全体耐震診断の効率化に関する研究 ~阿南市富岡商店街におけるケーススタディ~,阿南工業高等専門学校ACTフェローシップ 令和元年度ACTフェローシップ研究支援,2019年10月 – 2020年3月

B➃ 阿南市内のお宝発見!

阿南市内は歴史的景観,風光明媚な景観が多くあり,学術的な見地から研究が必要です。令和1年度には,徳島県文化財マイスター連合会に協力し,椿泊のまちあるきマップを作成しました。シンガポールからの留学生も参加してくれました。

 

 

C 建築業界をかえるプロジェクト

建設業界をもっと楽しく,もっとステキな仕事にするため,学生達と次の活動に取り組んでいます。

 

C① 住宅地選択を適正化する災害ハザードマップ活用に関する研究

令和3年度に,国立研究開発法人防災科学技術研究所の募集した「地域における災害レジリエンス向上のための社会的期待発見研究」の採択を受け,防災科研に所属する研究者との共同研究を進めています。この研究は、自然科学と人文科学の融合により,防災に関する新しい知を生みだすことが求められています。
私が解決したいのは、阿南市という災害リスクが高い土地で、「覚悟」を決めて暮らすのではなく、「自信」をもって暮らせる社会です。これは、東北の津波のショックで上板町という山奥にUターンした自分が、阿南高専の先生になったため家族とともに阿南で暮らし始める時に、いろんな「覚悟」をしたのですが、「覚悟」をしてまで暮らすそれっておかしくないかと思ったのがきっかけです。
現在,研究中ですが、一般の方や宅建業者が住宅地を選択するときに、ハザードマップに求めている心の奥の何かを探し求め、社会学的な研究手法を試行錯誤しています。
【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 加藤研二, 塩崎勇人, 鈴木進吾,住宅地選択行動を適正化させる災害ハザードマップ活用に関する社会的期待発見研究,災害レジリエンス向上のための社会的期待発見研究中間発表会,2022年3月25日
・多田 豊, 加藤研二, 塩崎由人, 鈴木進吾,住宅地選択行動を適正化させる災害ハザードマップ活用に関する社会的期待発見に関する萌芽的研究,令和3年度自然災害フォーラム&第16回南海地震四国地域学術シンポジウム,2022年1月21日
【プロジェクトに関わる研究助成等】
・多田豊,加藤研二, 塩崎由人, 鈴木進吾,住宅地選択行動を適正化させる災害ハザードマップ活用に関する社会的期待発見研究,地域における災害レジリエンス向上のための社会的期待発見研究,2021年10月 – 2022年6月

C② SDGsいえづくりカードゲームをつくろう!

SDGsいえづくりカードゲームは,建築主と住宅生産者とがいえづくりを通じてSDGsを実現するために,設計や施工の際に行う様々な選択とSDGsとの関わりを分かりやすく示し,ゲームにしたものです。令和1,2年度とくしま政策研究センター研究助成を受け,阿南高専の多田と加藤准教授,四国大学短期大学部加渡いづみ教授の3名により開発されました。
令和3年度には徳島県のリカレント教育に関する補助を受け,「SDGsいえづくりカードゲーム公認ファシリテータ養成講座」を開設し,16名の公認ファシリテータを養成しました。令和4年度以降も引き続き,新規ファシリテータの養成と,既存ファシリテータへの継続研さんの機会を提供していきます。

いえづくりは,個人が出来る最大のSDGsの実現手段かもしれません。住宅を建てた時の断熱や省エネの性能を高めれば,その後,エネルギーをクリーンに使っていくことができます。家を建てる木材に県産材を使用すれば,緑の雇用を守り,災害や気候変動への影響を抑えることができます。床や壁にリサイクルできる建材を選べば,将来世代の環境負荷を抑えることができます。大きな地震に備えるために,耐震性能の高い住宅を建てれば,住み続けられるまちづくりにつながります。そして,大工さんや職人さんを大切にすることは,災害時の早期の復興を実現することにもつながります。
いえづくりでは数多くの選択を積み重ねていきますが,その選択がSDGsに貢献する場合も,反対に貢献しない場合もあります。建築主のみなさんには,いえを建てる前に,このカードゲームを通じて,いえづくりとSDGsとの関わりを学んで頂きたいと考えています。また,住宅生産者のみなさんには,自分たちのいえづくりを少しでもSDGsの実現につなげ,その努力を建築主に伝えるために,このカードゲームを使ってほしいと考えています。

【プロジェクト成果の発表】
・多田豊,SDGsいえづくりカードゲームについて,家づくりから考える持続可能な地域づくりシンポジウム,2022年2月23日
・多田豊,SDGsいえづくりカードゲームの開発と参加者の行動変容,2021年度日本建築学会大会(東海)学術講演会,2021年9月
多田豊, 加藤研二, 加渡いづみ,とくしま発! 住まいのエシカル消費行動カード・ものさしの社会実装(認証ラベル化)事業,とくしま政策研究センター令和2年度研究助成,2021年3月 

多田豊,エシカル住宅への支払意思額に関するアンケート分析,2020年度日本建築学会四国支部研究発表会,2020年5月  
・多田豊,とくしま発! 住まいのエシカル消費行動ものさしの研究開発事業,とくしま政策研究センター令和元年度研究助成,2020年3月 

【メディアでの報道】
公認進行役養成へ講座,徳島新聞,2021年10月17日 
・情報とくしま SDGsいえづくりカードゲーム公認ファシリテータ養成講座,徳島新聞,2021年10月7日
SDGsに沿う家づくりは 阿南高専講師ら知識深めるゲーム考案,徳島新聞,2021年2月25日

【プロジェクトに関わる研究助成等】
・加藤研二,多田豊,SDGsまちづくりカードゲームの開発と社会実装化に関する研究,阿南工業高等専門学校 令和3年度リサーチユニット 2021年10月~2022年3月
・多田豊,加藤研二,住宅団地再開発におけるSDGsいえづくりカードゲーム(SDGsHゲーム)の実装化,独立行政法人国立高等専門学校機構 令和3年度高専教員の研究力強化プログラム,2021年9月 – 2022年3月
・多田豊,加藤研二,加渡いづみ,SDGsいえづくりカードゲーム 公認ファシリテータ養成講座,徳島県令和3年度とくしまリカレント教育推進事業,2021年7月 – 2022年3月
・加渡いづみ,加藤研二,多田豊,住まいづくりから考える持続可能な地域づくり,とくしま政策研究センター 令和3年度とくしま政策研究センター委託調査研究,2021年7月 – 2022年3月
・多田豊,とくしま発! 住まいのエシカル消費行動カード・ものさしの社会実装(認証ラベル化)事業,とくしま政策研究センター,2020年7月 – 2021年3月
・多田豊,とくしま発!住まいのエシカル消費ものさしの研究開発事業,とくしま政策研究センター 平成31年度とくしま政策研究センター「委託調査研究テーマ」,2019年7月 – 2020年4月

C③ 若者があこがれる建設業をめざしたDX化の推進

建設業の担い手不足問題が深刻化しています。長時間労働の是正や安全性の向上を目指して,建設業DXに関する研究を進めています。
令和2年度には主に建築分野を対象にDXに向けた連続講座を開催しました。
令和3年度では卒業研究にて,建設業体験の時間等により,若者がどのようなイメージを持つのか研究を行いました。
【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 中川颯太(卒業生),建設業の担い手不足問題解決を目指した大工職のイメージ調査,2022年度日本建築学会四国支部研究発表会,2022年5月 ※令和3年度日本建築学会四国支部賞
・中川颯太(5年生), 多田豊,Why Carpenters Are Not Popular With Young People,第4回NIT-NUU日台国際カンファレンス,2021年9月2日
【プロジェクトに関わる研究助成等】
・「新しい生活様式」を実現するための感染症対策・見える化技術を踏まえたエシカルリフォーム・インスペクター技術者養成講座(実践編),とくしま政策研究センター 令和2年度とくしまリカレ ント教育推進事業,2020年7月 – 2021年3月

C➃ 断熱性能・気密性能の向上

気候変動対策等の観点から脱炭素社会の実現のため,民生部門である住宅の光熱費削減と,居住者の健康増進が求められています。それらを実現するためには,断熱性能と気密性能の向上が重要であり,令和3年度には地元工務店の性能向上を目指した研究開発にとりくみました。

【プロジェクト成果の発表】
5C以西竜磨,地方中小工務店の規格型住宅(木造在来軸組工法)における費用対断熱性能比率に関する基礎的研究,令和2年度阿南工業高等専門学校卒業研究  ※令和2年度阿南工業高等専門学校建設コース最優秀論文賞,令和2年度阿南工業高等専門学校コーオプ企業技術課題解決賞
・以西竜磨(5年生), 多田豊,地方中小工務店の量産型一戸建て住宅(木造在来軸組工法)における外皮平均熱損失向上に伴う費用向 上緩和手法~HEAT20 G3レベルを対象にして,2020年度日本建築学会四国支部徳島支所徳島建築研究発表会,2020年12月12日

 

C⑤ DIYを楽しもう!

日本は他の先進国に比べて建築への理解が低いと言われています。DIYを通じて建築の面白さについて理解を深め,社会の中で建築への理解を深めるための研究を行っています。

【プロジェクト成果の発表】
・林聖人(5年生), 多田豊,DIYの限界,第4回NIT-NUU日台国際カンファレンス,2021年9月2日
・奥村公香(5年生),暮らしのQOL向上を目指したDIY趣味化に関する基礎的研究,令和2年度阿南工業高等専門学校卒業論文,2021年3月

・奥村公香(5年生), 多田豊,DIYによる若者のモノづくり意識向上に関する調査~高専生編~,2020年度日本建築学会四国支部徳島支所徳島建築研究発表会 ,2020年12月12日

 

C⑥ 古民家リフォーム

地域の建築文化の保全と,建築物の有効活用のため,古民家リフォームに関する研究を行っています。

【プロジェクト成果の発表】
・太田朱音,兵庫県民の古民家への居住選択に関する意識調査,令和3年度阿南工業高等専門学校卒業論文,2022年3月 ※令和3年度阿南工業高等専門学校コーオプ企業優秀技術課題解決賞

・多田豊, 太田朱音(5年生),兵庫県民の古民家への居住選択に関する意識調査,2022年度日本建築学会四国支部研究発表会,2022年5月14日
・太田朱音(5年生), 多田豊,兵庫県内住⺠の古⺠家居住選択意思の調査,2021年度徳島建築研究発表会,2021年12月10日
・太田朱音(5年生), 多田豊,減築の普及策,第4回NIT-NUU日台国際カンファレンス,2021年9月2日
・田中亮輔(3年生), 泉遥香(4年生), 藤川大輝(3年生), 多田豊,SVV (Students VS Vacant Houses),第4回NIT-NUU日台国際カンファレンス,2021年9月2日
・中川颯太(4年生),泉遥香(3年生),田中亮輔(2年生),藤川大輝(2年生),いいね!徳島暮らしアイデアコンテスト,2021年2月

C⑦ 住宅地景観の将来予測

地域の伝統的な住宅地景観の保全を目指した研究を行っています。

【プロジェクト成果の発表】
・松永健吾(5年生),徳島県の住宅地景観の将来予測-若者の木造戸建て住宅外観デザインの選択意識-,令和3年度阿南工業高等専門学校卒業論文,2022年3月 ※令和3年度阿南工業高等専門学校コーオプ企業技術最優秀課題解決賞

・多田豊, 松永健吾(卒業生),徳島県内の若者の木造戸建て住宅外観デザインの選択と社会への意識,2022年度日本建築学会四国支部研究発表会,2022年5月14日
・松永健吾(5年生), 多田豊,徳島県の住宅地景観の将来予測-若者による木造戶建て住宅の外観デザイン選択意識による分析,2021年度徳島建築研究発表会 ,2021年12月10日

C⑧ 性能向上インスペクションのDX化

既存住宅は当初の住宅性能の差だけでなく,維持保全により住宅性能が評価するため,インスペクション(建物性能診断)を実施する必要があります。
現在,インスペクションは,劣化事象等をみる1次的なインスペクション,耐震性能を診断する2次的なインスペクション,他の住宅性能を評価する性能向上インスペクションの3種類に分けられています。
私は,1次的なインスペクション(既存住宅状況調査),2次的なインスペクション(国土交通大臣登録木造住宅耐震診断技術者)の他,性能向上インスペクションに関する唯一の民間資格である住宅医(住宅医協会)の資格を持ち,実務として多数の住宅のインスペクションを実施してきました。
令和1年度,令和2年度に公益財団法人建築技術教育普及センターの研究助成により,日本で初めてとなる性能向上インスペクションの現状について実態を把握した上で,目視等が不可能な場合において現状のインスペクションに課題があることを明らかにしました。
令和3年度には,その解決を目指し,機械工学,情報工学の研究者と共同研究により,2階床下の調査を自動で行うロボットの開発に取り組んでいます。
令和4年度には,科研費の採択を受け,性能向上インスペクションに関わるゆらぎについて解明をしていきます。

【プロジェクト成果の発表】
・寺尾颯真(5年生), 多田豊, 杉野隆三郎, 福田耕治, 小林美緒,脳波データを用いた性能向上インスペクションにおける調査ゆらぎの推定,令和3年度計測自動制御学会四国支部学術講演会,2021年12月11日
多田豊,木造一戸建て住宅を対象とする性能向上インスペクションの現状と住生活基本計画の実現に向けた方策,木材保存,第47巻,第3号,pp.1-11,2021年8月
・多田豊,徳島県内住宅生産者への気密測定実施に関するアンケート調査,2021年度日本建築学会四国支部研究発表会,2021年5月15日
多田豊,木造一戸建住宅を対象とする性能向上インスペクションにおいて検査される個別性能の実態に関する研究(その1):公的制度等と民間団体等の比較,日本建築学会技術報告集,27巻66号,pp.877-882   
・多田豊,徳島県内住宅生産者への気密測定実施に関するアンケート調査,2021年度日本建築学会四国支部研究発表会,2021年5月15日
多田豊,目視等により仕様確認不能な木造一戸建住宅に対応した新しい性能向上インスペクションの評価方法の考案とその安定性及び作業効率性に関する研究 ,公益財団法人建築技術教育普及センター令和2年度研究助成,2021年3月 
・多田豊,性能向上インスペクションの調査方法と評価基準に関する研究2 ~異なる調査員が実施する木造住宅における壁又は柱の傾斜の確認方法別の安定性について~,2020年度日本建築学会大会学術講演会,2020年9月  
・多田豊,社会人向け「エシカル・インスペクター初級養成講座」の成果報告,2020年度日本建築学会四国支部研究発表会,2020年5月  
多田豊,費用対効果の高い性能向上インスペクションの住宅性能と検査方法別の安定性確認及び作業効率性に関する研究 ,公益財団法人建築技術教育普及センター平成31年度研究助成,2020年3月 
多田豊,性能向上インスペクションの調査方法と評価基準に関する研究1~住宅医協会「既存ドック調査診断報告書」を事例として~ ,2019年度日本建築学会学術講演会 2019年9月 

【プロジェクトに関わる研究助成等】
・多田豊,加藤研二,既存住宅インスペクションの検査時に生じる「ゆらぎ」の解明と「制御法」の開発,2022年度科学研究費助成事業基盤研究C,2022年4月 – 2026年3月
・多田豊,川畑成之, 岡本浩行,木造住宅耐震工事時の消費者トラブル発生防止に寄与する 隠蔽部の検査範囲を拡大する機械化検査法の開発,令和3年度とくしま政策研究センター委託研究,2021年7月 – 2022年3月
・多田豊,目視等により仕様確認不能な木造一戸建住宅に対応した新しい性能向上インスペクションの評価方法の考案とその安定性及び作業効率性に関する研究,公益財団法人建築技術教育普及センター 令和2年度調査・研究助成,2020年9月 – 2021年3月
多田豊,「新しい生活様式」を実現するための感染症対策・見える化技術を踏まえたエシカルリフォーム・インスペクター技術者養成講座(実践編),令和2年度「とくしまリカレント教育推進事業」,2020年7月~2021年3月
・多田豊,「新しい生活様式」を実現するための感染症対策・見える化技術を踏まえたエシカルリフォーム・インスペクター技術者養成講座(実践編),とくしま政策研究センター令和2年度とくしまリカレント教育推進事業,2020年7月 – 2021年3月
・多田豊,費用対効果の高い性能向上インスペクションの住宅性能と検査方法別の安定性確認及び作業効率性に関する研究,公益財団法人建築技術教育普及センター 平成31年度調査・研究助成,2019年7月 – 2020年3月

 

C⑨ 都市の歴史を表現するパブリックアート

都市の歴史,文化などを表現する方法としてパブリックアートがあります。
研究室では,令和1年度に,阿波市おもてなし公園に徳島県唯一の内閣総理大臣である三木武夫記念碑の制作を行いました。学生達(高岡采音/野口佑大/本田遼馬(5年生))が地域住民から三木武夫のイメージを聞き取り,中央政界からみた「クリーン三木」とは異なる地元の目線から,座右の銘である「人信なくば立たず」から人の字をモチーフとしたモニュメントを制作しました。

 

【プロジェクト成果の発表】
多田豊,オーラルヒストリーを活用したパブリックモニュメントの高専学生によるデザインの取組み 徳島県阿波市おもてなし公園内に整備された三木武夫記念碑の制作,令和2年度土木学会四国支部第26回技術研究発表会,2020年5月 

【メディアでの報道】
あずまやと記念碑お披露目 阿南高専生がデザイン,徳島新聞,2020年3月18日
・三木元首相記念碑制作費の寄付募集,徳島新聞,2020年1月20日
三木元首相記念碑デザイン「人」モチーフで決定,徳島新聞,2019年10月10日
阿南高専生 三木元首相記念碑制作委審査にて4つの記念碑案を提案,徳島新聞,2019年8月31日
・阿南高専生 三木元首相記念碑制作で聞き取り,読売新聞,2019年8月19日
三木元首相記念碑 阿南高専生が現地で聞き取り,徳島新聞,2019年8月4日
・三木元首相記念碑製作に阿南高専生が参加,徳島新聞,2019年6月22日
・三木元首相記念碑建立へ阿南高専生がデザイン,徳島新聞,2019年6月21日
・三木元首相記念碑を阿南高専生がデザイン,読売新聞,2019年6月15日

また,令和3年度には,徳島県建築士会徳島支部が実施した「未来の縁台」コンテストで優秀賞に輝いた森悠成(2年生)の作品を,アミコのペデストリアンデッキと,イオンモール徳島5階レストラン街に設置しました。

この作品「相席縁台」は,その名の通り,二人で縁台に座ると,座面が斜めになっているため,いつの間にか二人の距離が近くなってしまうという不思議な縁台です。
同級生の高澤優颯(2年生),佐野謙介(生)と一緒に製作を行いました。斜めの座面は金属による補強をせずに,木材だけで強度を保持しており,この部分に工学的な工夫が組み込まれています。また,木材の目地を「出会い継」とする等,伝統的な大工技術を取り入れて作品の美術的なレベルを高めました。

C⑩ アニメの街づくり

徳島は本当に「アニメの街」?
掛け声は大きいですが,マチアソビ等の期間以外には,アニメの要素は街中にありません。
アニメと都市空間との理想的な関わりについて研究しています。

・関有稀(5年生),「アニメのマチとくしま」の実現化方策に関する研究~徳島市立地適正化計画におけるアニメ誘導区域の提案~,令和2年度阿南工業高等専門学校卒業論文,2021年3月
・関有稀(5年生), 多田豊「アニメのマチ」を身近に,2020年度日本建築学会四国支部徳島支所徳島建築研究発表会,2020年12月12日

 

C⑪ 登録有形文化財

地域の歴史的な建造物を保存,有効活用していくため,登録有形文化財に関する研究を行っています。令和3年度には阿波市にある社寺「千光院」の調査を行い,登録有形文化財として登録を受けました。

令和1年度には,千光院の維持保全,活用等の機運を高めるため,パーマカルチャーセンター上籾のホルツ・ヒューターカイル博士をお呼びし,アフリカン土壁ワークショップ等を開催しました。土壁を小手ではなく人の手で塗ることで,プロ(小手つかい)と素人との差をなくし,誰もが参加できる体験型のイベントを目指しました。

C⑫ 高専発!応急仮設住宅配置計画ゲームをつくろう!

南海トラフ巨大地震(駿河湾~日向灘沖)が発生した場合,約84万戸もの応急建設住宅を建設する必要があるとされ,各自治体は事前準備を行っています。
事前準備では,①大量の応急建設仮設を早期に安全に建設することに加え,②居住者の孤立や孤独死を防ぐために「ふれあい」のきっかけが生まれる配置計画技術が求められています。
こうした高度な安全管理の観点を持つ配置計画技術は災害時に土壇場で計画出来るものではありません。
そのため,行政職員及び災害時に応急仮設住宅の建設に関する協定を締結する民間事業者団体(以下,協定団体とする)の技術者は事前訓練を行い,配置計画技術を修得し,継続的に学習する必要があります。
応急仮設住宅の配置計画技術を取得するため,私は応急仮設住宅配置計画ゲームを考案しました。
令和1年度に徳島県内の行政職員及び協定団体の技術者を対象に,模型を使用した対面の教育ツール「応急仮設住宅配置計画ゲーム」を作成しました。
令和2年度には,コロナ禍への対応として遠隔方式を開発しました。
令和3年度からは,阿南高専,熊本高専,豊橋技術科学大学とが連携し,熊本県版,愛知県版の開発を行いました。

令和3年度11月には学生主体による「木の仮設住宅シンポジウム」をオンラインで開催し,その成果を発表しました。
令和4年度には,各県版のゲームを各校の学生らに体験させ,配置計画技術の修得の差等が生じるどうか等の検討を行っていきたいと考えています。
加えて,技大・全国高専と共同研究体制を構築し,全都道府県版の開発を目指したいと考えています。

【プロジェクト成果の発表】
・多田豊, 勝野幸司, 水谷晃啓, 小野悠, 森重孝太郎, 野口佑大(卒業生), 田中亮輔(4年生),高専発!応急仮設住宅ゲームの南海・東南海地震対策への展開に関する基本調査,2021年度先進的技術シンポジウム(ATS2021),2022年3月8日
・多田 豊, 加藤研二, 杉野隆三郎, 遠野竜翁,遠隔コミュニティツールを活用した「応急仮設住宅団地配置ゲーム」の安全管理教育に関する研究,令和3年度自然災害フォーラム&第16回南海地震四国地域学術シンポジウム,2022年1月21日
・多田豊,官民連携による応急仮設住宅団地内配置計画ゲームにおける工程表の検討,令和3年度土木学会四国支部第27回技術研究発表会,2021年5月
・多田豊,全木協令和2年度補助事業 応急仮設住宅図面・施工・管理研修会,一般社団法人徳島県木の家地域協議会,2021年1月27日
多田豊, 加藤研二,産官学福民連携を実現する応急仮設住宅ゲームの開発,土木学会四国支部令和2年度自然災害フォーラム&第15回南海地震四国地域学術シンポジウム,2020年12月18日  
多田豊,産官学協働体制をつくる応急仮設住宅団地(建設仮設)内配置ゲームの開発実験,令和2年度土木学会四国支部第26回技術研究発表会,2020年5月 
・多田豊,応急仮設住宅カードゲームの紹介,とくしま木造建築学校運営協議会2019年総会,2019年7月12日

【メディアでの報道】
・木の仮設住宅シンポジウム 学生主導でハイブリッド開催,文教速報,2021年12月3日
・「徳島型の木造仮設住宅」で阿南高専が地域の防災に貢献! ~防災の日に南海地震に備え木造の仮設住宅を阿南高専生が建築する~,PRESSTIME,2021年8月21日

【プロジェクトに関わる研究助成等】
・多田豊,高専発!「応急仮設住宅ゲーム」PBLによる産官学福民連携の実現!,公益財団法人ちゅうでん教育振興財団 2020年度 ちゅうでん教育振興助成(高等専門学校の部),2021年4月 – 2022年3月
・多田豊,高専発!応急仮設住宅ゲームの南海・東南海地震対策への展開に関する基本調査,国立大学法人豊橋技術科学大学 高専連携教育研究プロジェクト ,2021年7月 – 2022年3月

 

D 社会をかえるプロジェクト
世の中をもっと楽しく,もっとステキな日本にするため,学生達と次の活動に取り組んでいます。

進化思考の普及

令和3年度より,次世代光関連事業開発支援プロジェクト(内閣府)に携わり,フェーズ2b「進化思考」について太刀川英輔特命教授と連携し,プログラムを実施しています。

【プロジェクト成果の発表】
・多田豊,高専の使い方;地方企業のシンクタンク・Doタンク,麻植倫理法人会第948回モーニングセミナー,2020年11月4日
  

【プロジェクトに関わる研究助成等】
・多田豊,福井龍太,加藤研二,高専リカレント教育の実態と社会的期待発見,令和4年度日本高専学会研究助成,2022年4月 – 2023年3月

 

シュタイナー教育

令和3年度より,小学生向けの公開講座にてシュタイナー教育の一つである「九九の糸掛け」を行っています。

ミライKOSENラボ

小中学生向けの科学技術講座を毎年度行っています。令和1年度は建築VR,令和2年度からは5コースの内容を扱うようになりました。令和3年度には5回連続講座としました。

 

【プロジェクト成果の発表】
多田豊,中学生向け「エシカルハウスをVRでつくろう!」講座の成果報告,2020年度日本建築学会四国支部研究発表会,2020年5月  

【プロジェクトに関わる研究助成等】
・多田豊,ミライKOSENラ,令和3年度とくしま科学技術アカデミー,2021年7月 – 2022年3月
・多田豊,とくしま科学技術アカデミー(阿南高専編),2020年7月~2020年12月
・多田豊,エシカルハウスをVRでつくろう!,令和元年度とくしま科学技術アカデミーに関する委託事業における小中学生向け「体験講座」,2019年8月 – 2019年10月

 

 

建築研究室を支援してくれる企業のみなさま

阿南高専建築研究室はたくさんの企業の方々の応援により成り立っています。

西野建設株式会社 西野賢太郎 代表取締役会長
株式会社はなおか
株式会社姫野組住宅センター
株式会社誉建設 鎌田晃輔 代表取締役社長

・木の家地域協議会より阿南高専に大工道具一式を贈呈頂きました(徳島新聞 2021年3月20日に掲載)

 

ところで,建築を教えてくれるのは,どんな先生?

博士号だけでなく,建築設計の最高資格である一級建築士,土木設計の最高資格である技術士,そして工事の最高資格である監理技術者を持つ,研究と実務の両方のエキスパートです。

准教授  多田 豊 博士(工学)

(1)建築系資格:一級建築士,管理建築士,住宅医,監理技術者,既存住宅状況調査技術者,文部科学大臣登録文教施設応急危険度判定士,国土交通大臣登録木造住宅耐震診断員,CASBEE戸建評価員,自立循環型住宅詳細版講習会修了者,徳島県文化財マイスター,wallstatマスター
(2)土木系資格:技術士(建設部門),土地区画整理士,測量士補
(3)経歴:1981年,徳島県上板町に生まれる。県立阿波高等学校卒業後,日本大学生産工学部建築工学科に入学。日本大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)授与。都市計画コンサルタント(神戸・東京),建築士事務所(徳島)を経て,2019年4月に阿南高専創造技術工学科講師(任期付教員)として着任。2020年4月より任期のない教員となる。2021年10月より准教授。2021年10月に阿南高専より,高志賞(地域連携表彰),高志(学生寮コロナ対策表彰)受賞。
(4)研究分野:建築とSDGs,性能向上インスペクション,性能向上リフォーム,応急仮設住宅等
(5)所属学会reserchmap参照
(6)委員歴reserchmap参照

 

 

先生がつくった作品は?

建築士事務所時代に住宅,店舗,公共施設等,多数の作品に携わらせて頂きました。
特に住宅医として建物の性能を調査し,耐震性能や断熱性能等を向上させていく性能向上リフォームを得意としていました。
また,公共施設の設計,工事監理にも多数携わっています。

工事名: あすたむらんど科学館天井改修工事
発注者: 徳島県営繕課

<コンセプト>
『ドキドキした子どもたちの気持ちを迎えられるホールでありたい』
学芸員さんの希望に応えるため、その意匠を円形の膜天井という世界初の技術で表現をしました。
膜天井のデザインは、ホールのメイン展示でありながらどこか脇役になっていたフーコーの振り子をより印象付けるために、
振り子の動きが描くバラ曲線をイメージモチーフとしています。
また、12本の柱を時計に見立て、膜(天空)を貫かせることで「時空」、すなわち科学の歴史を表現しようとしています。
私なりに、この科学館が子どもたちを迎えるためにはどのような意匠であるべきか考えた結果です。
この膜天井全体に、宇宙やジャングル、海の中等、催しにあわせて様々なプロジェクションマッピングを映し出させる装置も設置していますので、毎回子どもたちがあっと驚く展示ができるようになると思います。
ぜひ、末永く、愛される空間となればと祈っています。

 

工事名: 上板町学童保育施設新築工事
発注者: 徳島県上板町<コンセプト>
子どもが本当の木に触れて大きくなってほしい。
いま,日本の住宅は地方農村においても新建材にあふれかえり,本物のような偽物の中で生活しています。
公共施設の果たす役割の一つに社会的に建築のあるべき方向を示すことがあると考えています。
子ども達の育つ場所として,私なりに一つの解をこの建築を通じて示しました。
工事名: 阿波西高等学校屋外トイレ新築工事

発注者: 徳島県営繕課

<コンセプト>

この屋外トイレは、体育館トイレを含む避難所計画の一つとして計画され、トイレの他に防災倉庫の機能を持つ。私は、ここにもう一つの役割を持たせた。それは、徳島県が南海地震後の被災者への支援に向けて準備を進めている木造応急仮設住宅モデルと同じ平面、立面とし、かつ新しい工法を組み込むことで、応急仮設住宅を恒久的にこの世に存在をさせることである。このことにより、応急仮設住宅を先行的に準備をする地域工務店等がいつでも、参考に実大のスケール感を体験することができる。
平面は、徳島県木造応急仮設住宅モデルにおける伝統工法型モデルの平面を採用した。ただし、当該モデルは、梁成の大きな材料を使用することが前提となっており、災害時に供給できない場合があると考え、一般的な柱と同寸の120角の3m材で全ての構造材を統一し、構造設計を行った。これは備蓄のし易さや、早期の材料確保、職人労働の軽減といった点からも有効である。ここで、4.5畳の空間をつくるには、1.5間のスパンを飛ばす必要があるため、120角の材を重ね合わせ、スパンを飛ばせるよう、構造的一体化手法を採用したものである。

 

工事名: 阿波西高等学校体育館トイレ改修工事
発注者: 徳島県営繕課

<コンセプト>
学校等公共施設のトイレを設計するためには、実際に災害時に避難所としてどのように運用をされるのか、避難所計画がなければ、万一の時に本当に役に立つように設計をすることができません。しかしながら、多くの県立高校では、地域防災組織等との関りが薄く、避難所計画が策定されていないのが現実です。阿波西高校の場合には、生徒主導の防災クラブが積極的に活動をしており、学生たちと一緒にワークショップを開催し、ここで出た意見をもとに設計を進めました。こうした取り組みは、県立高校で初めての試みであったと評価をされています。

防災化には、LIXIL社が開発をしたレジリエンストイレを全国初となる導入をし、災害時に少ない水で便が流せるよう工夫をしました。また、汚物を地下ピット等に貯める装置を設置するなど、2重3重に災害時のトイレをより快適に清潔に維持するための建築的手法を導入しました。
今後は、LIXIL社にも協力を頂きながら、阿波西高校の防災教育にも積極的に関わっていく予定です。

 

店舗作品
住宅作品

先生の教育や研究の方針は?

はい,よろこんで

研究室の運営哲学は,「はい,よろこんで!」
人生はやってみないと分からないことが多くあります。腑に落ちないことも,まずは受け入れてみて,その中にある正しいことを見出し,よくないことはカイゼンしていきます。

四方よし

研究室の研究指針(卒業研究指導の他,委託研究,受託研究等に対する考え方)は,「書いて良し,得りて良し,セケン良し,四国よし」の四方よしを行動方針とします。
書いて良し…研究論文は書かなければ,買い手(消費者)の役に立たない。悩みながらも書く(表現する)ことを意識して行動します。
得りて良し…研究論文を書いたならば,必ず社会に問い,売り手(筆者)にとって新たな知見が得られるように行動します。
セケン良し…セケン(地域住民)の感覚を大切にしたボトムアップ型の研究を行います。セイケンのための研究ではありません。
四国よし…四国四県は諸島も含め大きな島です。この島を高専生が故郷と感じ,将来に渡り持続的な生活をするための研究を行います

ミライ・かえる・チカラ

卒業研究の指導方針は「ミライ・かえる・チカラ」とします。
地域の未来を共に描き,高専生の成長を通じて,地域課題を解決することを求めます。
そのために,本学建設コースで学ぶ建築と土木の力を活用してほしいと思っています。
既に社会は,建築と土木との領域を明確に分けることは難しく,世界的な気候変動等への対応にあたり,建築と土木は一体になって取り組むことが求められています。
若い時期に土木と建築とを共に学ぶことは将来の皆さんにとって,貴重な経験となります。
建築に進む場合に土木的なスケールの感覚を持っていないと,建築が敷地内だけで完結してしまい街づくりにつながらないことがあります。
反対に土木に進む場合に建築的な感性をもっていないと,景観性や持続性といった社会的なニーズへの対応がおざなりになってしまうおそれがあります。
私自身も建築も土木も共に仕事として携わってきており,両者が結びつかない限り,ミライを創ることはできないと実感をしています。
その上で,卒業研究では,他コース(電気,情報,機械,化学の力)との連携により,未来を変える創造工学を自分自身の力とすることを求めたいと思います。

 

建築の授業はどのように行われますか?

授業の指導方針は,「はじめからおわりまで,なんどもまなぶ」としています。
建築学の本筋は実学です。
しかし残念ながら,大学等の建築学科を卒業しても社会に出て直接に役立つ教育にはなっていません。
高専は大学編入者だけでなく,卒業後に就職する学生も多くあり,即戦力として大卒との同期と同等に働くことが必要です。
そこで,一つの授業の中で企画から計画,設計,積算,施工,維持管理まで,すなわち「はじめからおわりまで」をプロジェクトベースで学ぶことで,実社会に役立つ建築学生を育てます。
また,2年次から5年次まで,「はじめからおわりまで」を繰り返し,繰り返し,「なんどもななぶ」ことで,年々,自分の手に,技術,学術,芸術の力が備わっていくことを実感することができます。

 

授業用専用サイトはこちらから